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つながる日本美術 名作誕生


国立博物館で開催中の「つながる日本美術 名作誕生」展へ行かせていただきました。 数多くの国宝や重要文化財の作品が一同に見れる貴重な展覧会で、知っている絵などの本物を見てその迫力にうなったり、まさに眼福というような展覧会でした。 今回のこの展覧会は名作の紹介と言うより名作がどのような流れの中で完成されていったのかその、背景や影響しあう作品をひとつの「つながり」という切り口でテーマごとに紹介しているとても興味深い物でした。 その展覧会の一番はじめのテーマが「木の祈り」というもので、国宝の薬師如来増や十一面観音像など古い木像が並び展示されているのですが、面白いと思ったのが、元々は仏像は日本では木では作られていなかったと言うのです。 平安時代以前は仏像や銅や漆で作られており、木像のはじまりは鑑真が渡来し鑑真に伴った工人が木で仏像を作ったのがはじまりなのだそうです。 それまでの仏像の作り方は土や漆、銅などの素材なので作り上げて行く手法ですが木像は木を削る手法となるので、大きな転換だったようです。 渡来した工人たちは中国では石で仏像を彫っていましたが日本には適した石が無く、木で作ったのだそうです。 しかし、それまでの日本では、あまりに身近にある木は仏像を作る素材としては適さず、銅や漆のような高価な物で作らなければならないと言う考えがあったのだそうです。 その後も、神聖である「クス」で彫らなければならないという考えを持っていました。 ところが中国の工人は、彫刻に適している「カヤ」を選び、仏像を作るのに適していると仏典にある「白檀」に似せるために白檀に似た色を塗って見事な仏像を作り上げたのだそうです。


香り高い白檀が、仏像に適したものであると言うのはわかる気がしますが、クスは神聖でカヤは軽視された木であったと言うのはとても面白いと思います。 クスは本州中西部から南に多く数百年で20〜50メートルの巨木になります。 多くは樟脳の匂いがするので虫が付きにくく、厄よけの役割も持っているのだそうです。 だから神社のご神木になっていたり、トトロが住んでいるのも実はクスノキです。 巨木への畏怖の念や神聖なものと思う気持ちからクスを神聖なものとしたのではないでしょうか?  一方カヤは成長が遅く、年輪がとても細かく樹脂も多い為に古くは仏像、今でも碁盤の材料としては最高品なのだそうです。 残念ながら当時は豊富に国内にあったカヤも今は少なくなってしまい高価で貴重なものとなっているようです。 


豊富に身近にあるつもりの木について、意外にも知らないものですね。 仏像からその魅力を教えてもらいました。

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