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吉原と江戸のリサイクル

花見で賑やかな上野。

東京芸術大学で開催されていた「大吉原展」に行ってきました。

私自身、10年ほど前に吉原のことを調べたことがありました。きっかけは、「さゆり」と言う小説を読んだ事でした。この物語は、アメリカ人のアーサー・ゴールデンが祇園の実在のした芸妓さんに取材をして書いたもの。第二次世界大戦前、9歳で売られ、芸を磨き、史上最高値で水揚げされた芸妓さゆりの生涯。祇園の美と真実を描いたものです。実際には現実と違ったということで、その後、訴訟問題まで発展したと言うようなことがあったようですが、小説としてはとても面白く読みました。チャン・ツィー主演で映画化もされました。


京都で育った私は花街は身近なもので、たくましく、賢く、美しい花街の女性達は今でも尊敬の対象でもあります。興味を持った私はそのような本をいくつか読みあさった時期がありました。


そうして「吉原」と言う、江戸時代初期に江戸で唯一公認された遊び場 「遊廓」があり、昭和 33 年(1958)まで続き、およそ 350 年の歴史 を持つエリアがかつてあったことを知りました。


今回の大吉原展は、開催前に人権問題的な観点から物議をかもしだしたらしく、展覧会入り口に大きく、女性の人権についての説明があったのが印象的でした。


展覧会の内容は、ほとんどが浮世絵や、実際に使われた道具等も多少あり、歴史や吉原のシステムや、そこに暮らした女性のことなど、とてもわかりやすく展示されていて盛りだくさんでした。


吉原と言えば、「冷やかし」つまりお店に入ってきても何も買わないで帰っていくのを「冷やかし」と言いますが、その語源も吉原にあるって知ってましたか?


吉原から程近い隅田川で紙を漉いていた職人たちが遊郭に行って原料を冷やしている時間は遊女と遊ぶだけの時間もなく、暇つぶしにただ見て回るだけだったのだそうです。その頃、遊郭に来る上客は船か、篭でやってきたものでしたが、職人たちは歩いてくるので、泥だらけ。それを見て遊女が 「冷かしてんだ」と行ったのが始まりなんです。そんな事から、買いもしなくて覗くだけのことを「冷やかし」と言うようになったそうです。


既に江戸時代には、日本人は古紙を回収しており、再生して使っていたのが驚きです。


なんと、平安時代には、日本で「古紙の抄き返し」という使用済みの紙のリサイクルが行われていたとされています。当時は高価だった紙を大切にし、抄き返した紙は、“薄墨紙(うすずみがみ)”と呼ばれていました。 当時はまだ墨を抜く技術が未熟で、再生された紙に墨色が薄く残っていたためです。


この手法は、江戸時代にもそのまま残っており、考えてみれば、現代の私たちも古紙の回収と言うのは当たり前のようにやっていますものね。

しかし、これは世界的に見ると大変貴重なインフラなんです。日本で、段ボールの原料は輸入されておらず、ほぼ100%国内でリサイクルされていて、これは我が国独特の文化なんです。

ギンコのオリジナルスタンド段ボール製のフラダンボがいかにエコであるかがお分かりいただけるのではないでしょうか。


※フラダンボについては  https://www.ginkgoflower.com/fladambo


江戸時代には、蝋燭の蝋、傘や箒、そろばん、ちょうちんまでを集めてリサイクルをしたようです。

台風後の街角のたくさんの傘の壊れたのを見ると、今の世の中でもリサイクルができたらと思いますよね?


時代とともに、女性の人権の問題などはより良く変化していって欲しいですが、リサイクルについては、見習うことも沢山あるような気がします。


「大吉原展」まだまだ5月19日まで開催されているようなので、ご興味あれば足を運んでみてはどうでしょうか。 https://daiyoshiwara2024.jp/

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