ムスカリの花の語源は、ムスク(麝香)からきています。
甘い、メロンのような魅惑的な香りを放ちます。
ムスカリの原産地は、アフガニスタンやトルコなどの南西アジアと地中海沿岸です。
その為、ギリシャ語の moschos(ムスク)。つまり、ジャコウを語源としています。
1960年、イラク北部のシャニダール洞窟から、6万年前のネアンデルタール人の墓が発見されました。
30才〜40才の男性で、彼はムスカリの花に埋もれて埋葬されていました。
旧石器時代の人類が、人の死を悼み、花を敷き詰めて埋葬したことは、愛情を尊ぶ精神文化が当時の人類に既にあったということです。
そのことから、ムスカリは世界最古の献花として知られるようになりました。
その発見以前から、ムスカリには、可憐なその姿から想像できない、「絶望」「失望」「失意」という花言葉と「明るい未来」「通じ合う心」「寛大な愛」の、正反対にも取れる言葉が与えられています。
人は長い人生の中で、耐えられないと思うほどの絶望を味わうこともあります。
ですが、その絶望はいつも未来に繋がっています。
失意の先は、再び心が通じ会える時がくる日に繋がっています。
人は立ち止まることなく、時と共に生き続けていく。その先にある、あらゆる事を愛し続ける事が人類の使命なんだと、ムスカリの花は教えてくれる気がします。
ムスカリは群性して繁殖するので、6万年前のイラクの平原に見渡す限りブルーのムスカリの花畑が広がり、真っ青な空とムスカリの青が地平線で繋がり、世界が全て青一色になる。そんな風景を当時のネアンデルタール人は見たのかもしれません。
最近の研究で、ネアンデルタール人は、私たち現代人の子孫、ホモ・サピエンスの仲間とされるようになりました。それは、私たちのDNAにネアンデルタール人のDNAが発見されたのです。絶滅したとされているネアンデルタール人ですが、種族を超えたカップルが存在して、種を受け継いできた証となりました。
花と共に死を悼み、死後へと送り出す私たちの心は、ネアンデルタール人から受け継がれたものかもしれません。
コメント